パートの時給を上げる前に確かめたい助成金(賃金規定等改定コース)

パートやアルバイト、契約社員の時給を上げようとしている、萩・長門・阿武の経営者の方へ。賃上げに使える「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」について、受けられる額と、つまずきやすい「順番」をまとめます。10月8日から、山口県の最低賃金は時間額1,101円です。

最低賃金の改定に合わせて使われることの多い業務改善助成金は、山口労働局での2026年度(令和8年度)の申請受付が、10月7日(必着)で締め切られました。月給の人の時間額への直し方など、最低賃金そのものの確かめ方は山口県の最低賃金の記事にまとめています。

どんな助成金か

有期雇用やパートなど、いわゆる非正規で働く人の基本給を定めた賃金規定(賃金表)を3%以上増額改定し、実際にその規定で賃金を払った事業主に支給されます。正社員の賃金規定まで上げる必要はありません。

中小企業の場合、対象となる人1人あたりの額は次のとおりです。1年度1事業所あたり100人までです。

  • 3%以上4%未満:4万円
  • 4%以上5%未満:5万円
  • 5%以上6%未満:6.5万円
  • 6%以上:7万円

職務評価を経て改定した場合と、有期雇用労働者等の昇給制度を新しく設けた場合には、それぞれ1事業所あたり20万円の加算があります(1回限り)。

使うための条件

  • 先に、キャリアアップ計画を出す。賃金規定を改定する日(上げた賃金を適用する日)の前日までに、キャリアアップ計画を労働局に提出し、受理されている必要があります。計画は、労働者の過半数を代表する人などの意見を聴いて作ります。計画の期間は3年以上5年以内で、改定日がその期間に入っていることが必要です。事業所ごとにキャリアアップ管理者も置きます(適任者がいなければ、事業主や役員でも構いません)。
  • 賃金規定(賃金表)がある。就業規則や賃金規程に、パートなどの基本給の額が定められていること。等級別の表でも、個人別の一覧表でも構いません。いままで無かった場合は、新しく作り、作る前3か月の実際の賃金と比べて3%以上上がっていれば、対象になり得ます。
  • 改定前を3か月、改定後を6か月運用する。対象になるのは、改定日の前日から数えて3か月以上前から雇われていて、改定後6か月の間、雇用保険に入っている人です。
  • 手当を減らさない。基本給を上げる一方で、定額で払っている手当を減らすと、対象になりません。

計画書の作成・提出から、賃金表の整備、支給申請まで、まとめてお手伝いしています。 → 助成金の申請代行について

最低賃金に合わせた引上げは、日付で扱いが変わります

ここが、いちばん間違えやすいところです。最低賃金の効力が生じた日(山口県は10月8日)以後に賃金規定を上げた場合、最低賃金に達するまでの増額分は、3%の計算に入りません。

  • 発効日の前日(10月7日)までに改定した場合:最低賃金に合わせた引上げ分も含めて、3%以上かを見ます。新しい最低賃金を下回る等級だけを上げる改定も、最低賃金の公示日から発効日の前日までに行えば、対象になり得ます。
  • 10月8日以後に改定した場合:1,101円に届くまでの分は数えません。1,101円を上回る部分で3%以上上がっていなければ、対象になりません。

キャリアアップ計画を出さないまま10月に時給を上げた場合、その改定ではこの助成金は使えません。これから準備するなら、計画を先に出し、最低賃金を上回る部分で3%以上の改定を、次の昇給の時期などに合わせて組み立てます。来年の最低賃金の改定に合わせる場合も、計画は前もって出します。要件は年度ごとに変わるため、来年度の扱いは申請前にあらためて確認します。

規程には「いつから」を書く

改定した賃金規程や賃金表には、施行日(いつから適用するか)を書き、従業員に周知します。厚生労働省のパンフレットでは、就業規則は周知した日付で効力を持つため、原則として発効日と施行日を同じ日付にするよう案内されています。常時10人以上の事業所は労働基準監督署への届出も必要で、申請日までに届け出ていないと、原則として不支給になります。

申請の期限

改定後6か月分の賃金を支払った日の翌日から、2か月以内に申請します。改定日が賃金の締切日の翌日でない場合は、改定日のあとの最初の締切日から数えて6か月分です。

たとえば、月末締め・翌月15日払いの会社が4月1日に改定した場合、6か月目の賃金を払う10月15日の翌日から、12月15日までが申請期間です。郵送の場合も、期間内に届いている必要があります。

よくある失敗

  • 賃金表が無い。就業規則に「パートの賃金は個別に定める」とだけあり、金額の定めが無い。この場合は、賃金表を作るところからです。
  • 計画を出す前に上げてしまった。改定日の前日までに計画が受理されていなければ、その改定は対象になりません。
  • 端数を四捨五入して、3%に届かなかった。時給1,410円の3%増は1,452.3円です。四捨五入して1,452円にすると2.98%で、要件を満たしません。端数は切り上げで考えます。
  • 一部の等級だけ上げた。原則として、対象者がいない等級も含めて全ての等級を上げます。一部に絞るなら、雇用形態別や職種別など合理的な区分が必要です。年齢だけで分けることは認められません。

なお、事業主や取締役の3親等以内の親族は、対象になりません。

ご相談について

助成金は、取り組みを始める前に声をかけていただくことが、何より大切です。受給できるかどうかの確認は無料です。報酬は成功報酬のみで、着手金はいただきません。受給できなければ、費用はかかりません。

賃金表が無い、どこから手を付ければいいか分からない、という段階でも構いません。お問い合わせフォームから、いまの状態を聞かせてください。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金」(支給要領 令和8年4月8日付け、パンフレット令和8年度版、Q&A 令和8年7月29日改訂)、山口労働局「業務改善助成金について」。山口県でのキャリアアップ助成金の問い合わせ先は、山口労働局 助成金センターです。

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