山口県の賃上げ奨励金、2026年度はパートも対象に(賃金引上げ応援奨励金)
今年4月以降に従業員の給与を上げた、またはこれから上げる、萩・長門・阿武の事業所の方へ。山口県の「賃金引上げ応援奨励金」についてまとめます。国のキャリアアップ助成金のように前もって計画を出すのではなく、賃上げをして、上げた給与を払ったあとに申請する制度です。2025年度までは若い人の賃上げに限った制度でしたが、2026年度は年齢の制限がなくなり、パートも対象になりました。
どんな奨励金か
県内に事業所があり、常時雇用する従業員が1人以上いる中小企業等が対象です。医療法人、社会福祉法人、NPO法人なども含まれます。中小企業かどうかは業種ごとに決まっていて、たとえば小売業は資本金5千万円以下か従業員50人以下、サービス業は5千万円以下か100人以下、製造業・建設業は3億円以下か300人以下です。
定期昇給の分を除いて、次の率以上に賃金を上げた人1人ごとに支給されます。
- フルタイムの人(無期か1年以上の雇用契約。短時間正社員を含む):2.0%以上 5万円/4.0%以上 10万円/6.0%以上 15万円
- パートの人(1年以上の雇用契約で、週20時間以上):4.0%以上 5万円
支給額の上限は300万円です。フルタイムの人は、申請する人たちの賃上げ率の平均が4.0%以上であることも必要です(2.0%の人がいても、平均で4.0%以上なら対象になり得ます)。対象になるのは、県内の事業所で働き、雇用保険に入っている人で、試用期間中の人も含みます。
「何%上げたか」の数え方
- 前の月と比べる。上げた給与を、その前の月の分と比べます。初任給は、採用のときに示した額と比べます。
- 数えるのは、最低賃金の対象になる賃金だけ。基本給や、職能に応じて毎月決まった額で払う手当などです。精皆勤手当、通勤手当、家族手当、固定残業代は入りません。
- 定期昇給の分は引く。過去3年の同じ時期の昇給額の平均を「定期昇給相当額」として差し引きます。昇給の決まりが無い会社も、実際に上がった額から計算します。
県の確認様式の例では、時給1,200円のパートを1,280円に上げ、過去の昇給の平均が15円の場合、(80円-15円)÷1,200円で約5.4%です。
申請の順番
募集要項の流れでは、前もって県に届け出る手続きはありません。
- 賃上げをして、上げた給与を払う。上げた給与を初めて払った日を「賃上げ実施日」といい、2026年4月1日から2027年3月19日までが対象です。
- 行動計画を作る。「働きやすい職場環境づくりに向けた行動計画」を作り、県のサイトで受けた職場環境のセルフチェックの結果を添えます。作るときに、社会保険労務士などのアドバイザーの無料派遣を頼むこともできます(任意)。
- 申請する。やまぐち働き方改革支援センターの申請フォームから出します(難しい場合は郵送。メールでは受け付けていません)。対象者全員分の労働条件通知書や賃金台帳なども要ります。
申請期限は2027年3月19日(必着)ですが、予算の上限に達した場合は、それより前に締め切られます。また、賃上げ実施日から1年間は、賃金を下げずに雇用を続けることを誓約します。
最低賃金1,101円に合わせた引上げは
山口県の最低賃金は、10月8日から1,101円になりました。県の募集要項とQ&Aでは、扱いを次のように分けています。
- 賃上げ実施日が10月7日まで:いまの賃金からの引上げ分が対象になります。
- 賃上げ実施日が10月8日以後:1,101円に届くまでの引上げ分は数えません。1,101円からさらに上げた分で判断します。
賃上げ実施日は「上げた給与を初めて払った日」なので、10月8日に合わせて上げた時給は、ふつうは後者になります。たとえば10月8日以後に、時給1,050円を1,101円にしただけでは対象になりません。1,101円を超えてどこまで上げれば何%と数えられるかは、申請の前に事務局へ確かめてください。最低賃金そのものの確かめ方は山口県の最低賃金の記事にまとめています。
国の助成金との組み合わせ
- キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース):同じ賃上げで、両方を受けることはできません。県のQ&Aでは、それとは別に上乗せして上げた分は対象になるとされています。国の側の順番はパートの時給を上げる前に確かめたい助成金にまとめました。
- 医療機関のベースアップ評価料:キャリアアップ助成金と同じく、同じ賃上げでは重ねられない扱いです。
- 業務改善助成金:設備投資などを対象にした助成金なので、重複にはあたらないとされています。ただし、山口労働局での2026年度の受付は10月7日で終わっています。
前の制度と、若い人の賃上げ
2024・2025年度は、初任給や35歳未満の人の賃上げに限った「初任給等引上げ応援奨励金」でした。「1人10万円」と報じられたのは、この前の制度です。2026年度はそれを広げたものがこの奨励金で、初任給の引上げもこの中で対象になります。前の制度を受けた事業所も、もう一度申請できます。パートなどを正社員として雇う場合は、県の別の制度「やまぐち正規シャインもっと応援奨励金」もあります。
ご相談について
県の奨励金と国の助成金は、要件も申請の順番もちがいます。どれが使えそうか、組み合わせられるかの洗い出しから、ご相談ください。受給できるかどうかの確認は無料です。国の助成金の申請代行は成功報酬のみで、着手金はいただきません。受給できなければ、費用はかかりません。 → 助成金の申請代行について
今年上げた給与が分かるもの(賃金台帳など)があれば、話が早く進みます。お問い合わせフォームから、いまの状態を聞かせてください。
出典:山口県「賃金引上げ応援奨励金について」(募集要項 令和8年4月1日〔9月17日修正〕、よくある質問 令和8年8月21日追記、支給要綱、定期昇給相当分確認様式)、山口県「令和8年度の賃上げ、正社員化促進に関する奨励金について」、山口労働局「令和8年10月8日から山口県最低賃金が改正されます」、山口労働局「業務改善助成金について」。問い合わせ・申請の窓口は、賃金引上げ・正規転換等応援奨励金事務局(やまぐち働き方改革支援センター内)、電話 083-974-2050(平日9時〜17時)です。