冬の賞与を払う前に確かめたい、社会保険の届出と保険料(2026年度)
12月に賞与や寸志を出す予定の、萩・長門・阿武の経営者の方へ。賞与を払ったときの社会保険の届出と保険料を、2026年度(令和8年度)の料率でまとめます。今年度から、賞与にも「子ども・子育て支援金」がかかります。4月以降に賞与を出していない会社では、この冬がはじめてです。
なお、賞与から差し引く所得税は税金の取り扱いのため、この記事では扱いません。顧問の税理士にご確認ください。
「寸志」も、賞与として届け出ます
社会保険でいう賞与は、名前を問いません。賞与、期末手当、年末手当、もち代、役員賞与など、労働の対価として年3回以下で払うものは、すべて賞与です。名前が「寸志」でも同じです。年4回以上払うものは、賞与ではなく毎月の報酬の側に入ります。結婚祝金のように、労働の対価とはいえないものは対象外です。
払ったら、5日以内に賞与支払届
- 期限と出し先:支払日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を、事務センターか管轄の年金事務所に出します。電子申請、郵送、窓口への持参ができます。
- 用紙:日本年金機構に登録している「賞与支払予定月」の前月に、従業員の氏名などを印字した用紙が届きます。印字のない人は書き足し、払わなかった人の欄には斜線を引きます。
- 払わなかったとき:予定月に誰にも払わなかった場合は、「賞与不支給報告書」を出します。予定月そのものが変わったときは、「事業所関係変更(訂正)届」で登録を直します。
- 70歳以上の人:70歳以上で働いている人も、「70歳以上被用者」に当たれば、同じ用紙で届け出ます。
日本年金機構は、支払年月日の書き漏れと、賞与額の欄の書き方を、不備の多い例として挙げています。賞与額の欄には、支払額の合計から1,000円未満を切り捨てた額を書きます。
保険料の計算と、2026年度の率
保険料は、税引き前の支給額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、料率をかけて計算します。協会けんぽ山口支部の会社の場合、2026年度の率は次のとおりです。
- 健康保険:10.15%(2025年度の10.36%から引下げ)
- 子ども・子育て支援金:0.23%(2026年4月分から。賞与からも拠出します)
- 介護保険:1.62%(40歳から64歳までの人)
- 厚生年金:18.3%
- 雇用保険:一般の事業で1,000分の13.5、うち本人負担は1,000分の5(2025年度の1,000分の5.5から引下げ)。農林水産・清酒製造の事業と建設の事業は、本人負担が1,000分の6です。雇用保険は、標準賞与額ではなく実際の支給額で計算します。
健康保険、支援金、介護保険、厚生年金は、会社と本人が半分ずつ負担します。本人の分を賞与から差し引き、会社の分と合わせて納めます。12月に払った賞与の保険料は、毎月の保険料と合算されて1月の納入告知書で通知され、1月末までに納めます。
たとえば、一般の事業の会社で、35歳の人に20万円の賞与を払う場合、本人の負担は、健康保険10,150円、子ども・子育て支援金230円、厚生年金18,300円、雇用保険1,000円で、合わせて29,680円です。45歳の人なら、介護保険の1,620円が加わります。
このほか、会社だけが負担する「子ども・子育て拠出金」(標準賞与額の0.36%)もあります。名前は似ていますが、本人から差し引く支援金とは別のものです。標準賞与額の上限は、健康保険が年度(4月から翌年3月)の累計573万円、厚生年金が1か月あたり150万円です。
この人たちの賞与は、扱いが変わります
- 12月に辞める人:資格を失う月(退職日の翌日が属する月)に払った賞与には、保険料がかかりません。12月10日に払い、12月20日に辞める人はかからず、12月31日に辞める人は資格を失う日が1月1日になるので、かかります。保険料がかからない場合も、資格を失う日の前日までに払った賞与は届け出ます。
- 育休中の人:賞与の保険料が免除されるのは、賞与を払った月の末日を含めて、連続して1か月を超える育休を取っている場合に限られます。月末をはさむ2週間の育休では、毎月の保険料は免除されても、賞与の保険料は免除されません。免除には「育児休業等取得者申出書」の提出が必要です。
- 年金を受けながら働く人:賞与は、在職老齢年金の計算にも入ります(1年間の標準賞与額を12で割った額)。2026年4月から、年金が減る基準(賃金と老齢厚生年金の合計)は、月65万円に引き上げられました。
萩・長門・阿武の事業所が、12月までにしておくこと
- 払う相手を確かめる。育休中の人、12月に辞める人、70歳以上の人がいるかを、支給日を決めるときに一緒に見ておきます。
- 届いた用紙を確かめる。印字の漏れを書き足し、払わない人に斜線を引きます。誰にも払わないなら、賞与不支給報告書を出します。
- 年末の日程に気をつける。12月下旬に払う会社は、5日以内の期限が年末年始の休みと重なりがちです。支払日の前に届の中身を作っておくと、慌てずに済みます。
ご相談について
賞与の計算から、保険料の控除、賞与支払届まで、まとめてお引き受けしています。 → 給与計算代行について
社会保険の手続きを、日々の労務のご相談と合わせて任せたい場合は、労務顧問としてお受けしています。料金は、ご依頼の範囲と会社の規模を伺ったうえで、書面でお出しします。 → 労務顧問について
「今年は寸志だけ出すつもりだが、届は要るのか」という段階でも構いません。初回のご相談は無料です。お問い合わせフォームから、いまの状態を聞かせてください。
出典:日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」・「厚生年金保険の保険料」・「育児休業等を取得・延長したときの手続き」・「在職老齢年金制度が改正されました」、協会けんぽ「令和8年度保険料率」、こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度のQ&A」、厚生労働省「雇用保険料率について」。健康保険組合に加入している会社は、料率と届出の方法を、加入の健康保険組合でご確認ください。