男性の育休を後押しする助成金(出生時両立支援コース)の要件と期限
男性の従業員から「育休を取りたい」と言われたとき、あるいは、これから言われそうなとき。中小企業が使える「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」の金額、要件、申請期限を、2026年度(令和8年度)の支給要領に沿ってまとめます。専任の人事担当者がいない、萩・長門・阿武の会社を想定しています。
どんな助成金か
男性が育休を取りやすいように職場の環境と業務の体制を整え、実際に男性の従業員が、子の出生後8週間以内に始まる育休を取った場合に、会社に支給されます。「子育てパパ支援助成金」とも呼ばれています。
この区分の対象は中小企業事業主です。業種ごとに、資本金か常時雇用する労働者の数で判定します(たとえば小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下)。
金額と、何人目かで変わる要件
- 1人目:20万円(雇用環境整備の措置を4つ以上行った場合は30万円)。育休は連続5日以上(うち所定労働日4日以上)、措置は2つ以上。
- 2人目:10万円。育休は連続10日以上(同8日以上)、措置は3つ以上。
- 3人目:10万円。育休は連続14日以上(同11日以上)、措置は4つ以上。
人数は、助成金の対象になった人だけを数えます(1事業主3人まで)。産後パパ育休の申出期限を、労使協定で「2週間前」より長くしている会社は、必要な措置がそれぞれ1つ増えます。自社の育休の取得状況を国のサイト「両立支援のひろば」で公表すると、2万円の加算(1回限り)もあります。
このほか、男性の育休取得率を前の事業年度より30ポイント以上上げて50%以上にした場合などに、1回限り60万円が支給される区分もあります。2026年度から、こちらは業種を問わず常時雇用する労働者300人以下などの事業主に対象が広がりました。
主な要件
- 雇用環境整備の措置:①育休に関する研修、②相談窓口の設置、③自社の育休取得事例の収集・紹介、④育休制度と取得促進の方針の周知、⑤育休を取る人の業務の配分や人員配置の見直し。このうち必要な数を、育休が始まる日の前日までに行います(申請日からおおむね3年以内のもの)。
- 業務体制の整備:育休を取る人の業務の整理・引継ぎと、引き継いだ業務の見直し(休止・縮小、効率化、外注など)を検討することを、就業規則や内規、育休復帰支援プランで定めます。規定は育休開始の前日までに作って周知し、体制の整備は遅くとも育休の終了日までに行います。
- 就業規則への規定:産後パパ育休を含む育休と、育児のための短時間勤務を、育休開始の前日までに就業規則などに定めておきます。「育児・介護休業法による」と書くだけでは認められません。10人未満で就業規則が無い会社は、制度を文書にして周知していることが必要です。
- 一般事業主行動計画:次世代育成支援対策推進法の行動計画を作って労働局に届け出て、公表・周知していること。申請日が計画の期間内であることも必要です。
- 雇用保険:対象の男性を、育休開始日から申請日まで、雇用保険の被保険者として雇い続けていること。
申請の期限
育休が終わった日の翌日から2か月以内に、本社などの所在地を管轄する労働局へ申請します。山口県の窓口は、山口労働局の雇用環境・均等室です。たとえば5月7日に子が生まれ、5月10日から6月9日まで育休を取った場合、申請できるのは6月10日から8月9日までです。
育休を分けて取った場合は、要件を満たした休業が終わった翌日から数えます。すべての休業が終わってから、ではありません。郵送でも、期限内に労働局に届いていなければ受け付けられません。
気をつけたいこと
- 順番が逆だと、使えません。措置、規定、就業規則の多くは「育休開始の前日まで」が条件です。育休を取ってから整えても、間に合いません。
- 育休中に働いた日は、日数に数えません。途中で出勤すると、連続の日数が足りなくなることがあります。
- 「引き継いだだけ」では、業務の見直しになりません。⑤の措置は、代わりを務める人の負担が大きくなりすぎないよう調整したことが、書類で確認できる必要があります。
- 育休中の給与は、有給・無給どちらでも構いません。ただし有給にするなら、就業規則にその旨を書いておきます。
- 同じ育休で、育児休業等支援コースとの併給はできません。
長門市のセミナーでもお話ししました
2026年10月8日、長門市しごとセンターで開かれた事業者向けセミナー「会社も従業員も損をしない! 男性育休の『お金』と『実務』」で講師を務めました。助成金や給付の活用も、このセミナーのテーマのひとつでした。セミナーのご案内はセミナーのお知らせに載せています。
ご相談について
就業規則の育休の規定、行動計画、研修や方針の資料。どれも、対象になる人が出る前に整えておくものです。「来年、子どもが生まれる従業員がいる」という段階でご相談いただければ、順番どおりに準備できます。受給できるかどうかの確認は無料、報酬は成功報酬のみで、着手金はいただきません。 → 助成金の申請代行について
整理できていない状態のままで構いません。お問い合わせフォームから、いまの状態を聞かせてください。
出典:厚生労働省「両立支援等助成金のご案内」(出生時両立支援コース支給要領 令和8年4月8日時点、同Q&A、支給申請の手引き2026年度版)、山口労働局「助成金について」。要件は年度ごとに変わるため、申請前に最新の要件を確認します。